経済の風景 economic Landscape 2003 5 17

 今から何年か前の話ですので、今はどうなっているか、わかりませんが、
こんなことがありました。
 ある地方都市の国道沿いに、郊外型のレストランができました。
これは、全国展開するファミリー向けの、車で行く郊外型のレストランです。
 ところが、その後、意外な展開となりました。
同じような郊外型のレストランが進出してきました。
市の産業振興担当の職員は、いい展開になったと思ったのも、つかの間です。
次から次へと郊外型のレストランが進出してきたのです。
最初は喜んでいた市の職員も顔色が青くなりました。
市といっても人口10万人の地方都市です。
郊外型のレストランが数えてみると、この国道沿いに10店以上も、
密集して開店しています。
 さすがに市の職員だけでなく、地元の住民も心配になりました。
これでは、人口が10万人しかいないのに、過当競争になってつぶれてしまう。
つぶれてしまったら、また荒れ野になるだけだと心配しました。
 しかし、余計な心配に終わりました。
なんと、かえって商売繁盛するようになったのです。
週末の夜となると、レストランへ向かう車で渋滞になったのです。
 これは、この国道沿いにレストランがいっぱいあるということで、
レストランを選べる楽しみができたと言って、近隣の市町村から、
この郊外型のレストランの密集地に、人が集まってきたのです。
 市の職員が調べてみると、同じようなメニューの郊外型のレストランが、
何店もあり、味比べができます。
 だから、金曜日の夜は、仕事仲間とA店で食事をし、
土曜日の夜は、友達と隣りのB店で食事をし、
日曜日の夜は、家族と向かいのC店で食事をして、味比べをするのです。
 さらに、今度は、洋食ではなく、和食の店や中華の店が進出してきました。
また、ファーストフードの店も、郊外型の大規模な本屋も進出してきました。
いつのまにか、郊外型の日曜大工の店もありました。
この地域で、ひととおりの買い物ができるようになったのです。
車で行くショッピング街ができたのです。駅にあるショッピング街とちょっと違います。
経済学とは、机の学問ではなくて、フィールドワークの学問でもあると思います。
 さて、今、旅行業界が経営的に苦しくなっています。
人によって、海外旅行をしないのは、いろいろ理由があります。
私が海外旅行に行かないのは、飛行機のなかでインターネットや電子メールができないからです。
たとえば、ヨーロッパまで、飛行機で10時間以上かかるでしょう。
激動する国際情勢や国際経済のなかで、10時間以上も、
情報から隔離された空間にいるのは、困ります。
 今の世界情勢では、この10数時間に国際情勢や国際経済が急変することもありえます。
だから、旅客機のなかでも無線LANで、
インターネットや電子メールができるようにすべきです。
これで退屈な飛行機の長旅が、少しでも楽になります。